メルボルンのクッカリーに通う学生の日常season2-week2
初めに
人生の恩人。
あなたには、そう呼べる人はいますか。
ここで言う人生の恩人とは、その人のおかげで自分の人生を大きく”変える”ことができた人。
そう定義したい。
家族や友人。
大学の教授や部活の先輩。
はたまた、たまたま見ていた動画の一言。
などなど人それぞれ。
中には、心の底からそう思える存在にはまだ出会えていないと言う人もいるだろう。
やらないことを時代のせいにできなくなってる現代。
人に頼るのではなく、自分の力でどうにかしないといけない。
そう考える人は、昔より増えたのではないかと思う。
一人で、リモートでなんでもできる時代は、逆に恩人と呼べる存在に出会う機会を減らしているのではないか。
そんな風にも思う。
今回は、そんな時代に起きたとある海外学生生活エピソードを紹介したいと思う。
母の話
本題に入る前に自分の母の話をしたい。
遡ること約10年。
大学入試本番の日。
自分が試験を終えて大学を出ると、母親がこんなことを言った。
「家、決めといたよ」
聞くと、自分が試験を受けている間、暇だったからこれから自分が4年間住むであろう家探しをして、そのまま契約までしてしまったと言うことだった。
「なんで勝手に決めてしまったの」
ということより、そこで母親が言った言葉が記憶に残っている。
「家探しなんてするつもりなくて、たまたま話しかけてくれた人がとてもいい人で、しかも地元のこととかよく知っていてなんか運命みたいなものを感じて、そのまま決めた。」
「人付き合いには運命みたいなものがあるから、それを大事にした方がいい。」
と言うのだ。
のちにその人は、自分の大学の良くしてくれた先輩の一人であることが判明し、さらにそこから縁あってその不動産でバイトすることにもなった。
というエピソードだ。
偶然と言われればそれまでだが、自分のある種の直感みたいなものに全ツッパできる母親の行動力がすごく印象に残り、今でも人付き合いにおいて、自分も直感を大事にしている。
本題
いつものようにイタリアレストランのキッチン仕事を終えた夜10時ごろ。
日本人オーナーにいきなりこんなことを言われた。
「今日でここを辞めてもらう。」
衝撃の一言だった。
このレストランは、メルボルンの友達の紹介で知り合った料理人の方に紹介してもらい、その人の紹介もあってと半分”恩”みたいなもので入れさせてもらったレストランだった。
ご存知の通り、今オーストラリアので仕事探しは、困難を極めており、そんな中で紹介で働かせてもらえるのは、本当に感謝でしかなかった。
働き始めるとオーナーもすごくいい人で、これからどんどんいろんなことを吸収できそうだった。
まだまだ料理素人の自分にとって、直感的にも経験的にもここで間違いない。
そう思っていた。
そんな矢先のことだったので、正直かなり動揺した。
ただ、話には続きがあった。
「辞めてもらう代わりに俺の知り合いの別のイタリアレストランを紹介するよ。」
、、、え。
「今の君には、ここで働くよりも、そのレストランで働いた方がいい。」
と言うのだ。
かねてからオーナーには、そこまで忙しいレストランではないからシフトがあまり出せない。
給料もそこまで出せない。
別で働かないと、生活できないよ。
など、自分を心配するような助言をかなり受けていた。
自分としては、紹介で入らせてもらった以上、働かせてもらえるなら、条件は関係ないと思って働いていた。
が、オーナーにとっては、十分に働かせてあげられない現状をかなり気にかけて下さっていたようだった。
「新しいレストランなら、規模も大きし、大変だけど今よりもっと働ける。」
「君のキャリアにとっていいはずだ。」
ありがたい言葉が続いた。
所詮は付き合いの浅い若造に、ここまで親切にしてくださる人柄、懐の広さに脱帽だった。
こんな大人になりたいと大人ながら思った。
その日は結局、仕事終わりの10時から深夜まで、料理人の苦労や人生相談に乗ってくださった。
人生に何度も経験することのできない、熱い語りだった。
海外生活の覚悟
人の恩で繋がったこのリレー。
このオーナーの顔に泥はぬれない。
新しいレストランでやるしかない。
仕事がきついとか関係ない。
イタリア語環境とか関係ない。
時給が安いとか心の底から関係ない。
これ以上にない、モチベーションができた。
自分のため、そして何よりオーナーへの恩返しのため。
やるしかない。
「アラサーは自分のためより誰かのための方が頑張れる」と聞いたことがあるが、その意味が今、よくわかった。
ただ、本当の意味でオーナーを”恩人”と呼べるかは、これからの自分の働き方次第。
いくら紹介で入っても、仕事ができなければ、すぐに切られる世界。
このブログを書くことで、自分へのプレッシャーをどんどんかけていく。
もう逃げられない。
2年間の海外生活の経験をいろんな意味で発揮する時が来た。
そんなことを思った1週間だった。
アラサーにしてつくづく安定とは程遠い毎日だが、チャレンジしているからこその胸熱の展開だと思って楽しんでいきたい。
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人付き合いは、直感。
でも、それが上手くいくかは、自分の行動次第。
人生を同じようにもがく、そこのあなた。
苦しい時間も含めて、一緒に楽しもう。
Hiromu
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